最近、革製のバッグや財布について、こんなお問い合わせが急増しています。
- ウイルス対策としてアルコール除菌の液体やウエットティッシュで拭いたら、表面にシミができて色が落ちてしまった。
- お店に入るとき、店頭にある手指消毒用のアルコール除菌をしたら、勢い余って靴やバッグにかかってしまい、白いシミができてしまった。
革にアルコールが付くと、なぜシミや色落ちが発生してしまうのか? その理由と元に戻す方法をご紹介いたします。
落とすことができないアルコールによる革のシミ
アルコールが革に付着すると、革に浸透します。そして、アルコールが揮発する際、革に含まれている染料や油分なども一緒に揮発させてしまうので、シミや色落ちが発生してしまいます。
このように革の染料・油分が揮発してシミになってしまった場合、既に色が落ちてしまっているため、クリーニングで「シミを落とす」ことができません。しかし、靴専科では色が抜けてしまった革に補色して色を戻すことが可能です。
オゾン水クリーニングで革全体の汚れを落とす
靴磨きは、よく女性のメイクアップに例えられますが、実はクリーニングも似ている部分があります。クリーニングは、クレンジングと思っていただけるとイメージしやすいです。もちろん、そのまま色を入れることもできますが、普段使いのバッグや靴には目に見えない汚れが数多く付着しています。その汚れの上に色を重ねてしまうと、定着しないで剥がれの原因になります。そのため、色を入れる下準備として全体の汚れを落とします。
クリーニングは、オゾン水と革にダメージを与えない溶剤を使用して洗っていきます。洗剤が残ってしまうと、別のシミの原因になってしまうので、拭き洗いも行います。ただ、シミになっている箇所は色が抜けてしまっているので、クリーニングでは変わりません。水分が入ることで一瞬、元に戻ったように見える場合もありますが、乾くとシミが現れます。
補色することでシミの無い美しい状態へ
クリーニング後はしっかり形成させ、適切な温度で乾燥させます。元々、革の乾燥が酷い場合は、保湿クリームなどを塗布して乾燥させます。乾燥が終わったら、いよいよ色入れです。メイクアップでいうところのファンデーションです。
色は元の色に合わせて調合していますが、コースや全体のバランスによって塗る範囲は変わってきます。今回は、シミの箇所以外にも角や胴体部分もところどころ擦れがあったので、全体的に色を塗っていきます。ファンデーションと一緒ですが、厚く塗り重ねてしまうと剥がれの原因になるので、ムラにならないよう均一に塗っていきます。
色入れの終わったものがこちら
シミもすっかりなくなり、元の状態に近づきました。革製品へのアルコール除菌は難しいですが、花粉の時期やコロナ禍ではどうしても気になる……。そんな方には、靴専科のオゾン水クリーニング+補色をオススメいたします! ぜひ、バッグや靴でお困りの際は靴専科へご相談ください。