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【CHANEL】マトラッセのバッグ・鞄クリーニング/補色/修理

開催場所 1F 靴専科
 
シャネル「マトラッセ」


シャネルのバッグの中でも不動の人気を誇り、高い知名度で国内外問わず長く愛されている「マトラッセ」。
靴専科ではラムスキンタイプのバッグ・鞄クリーニングや補色、内装交換の修理依頼が多いので、サービス内容や素材別の特徴をご紹介いたします。



シャネル「マトラッセ」の特徴

 
シャネル「マトラッセ」


まずは、シャネル「マトラッセ」の特徴を簡単に説明いたします。シャネルの公式サイトには、マトラッセというハンドバッグは存在していません。日本語サイトでの商品名は「クラシック ハンドバッグ」です。

そもそもマトラッセとは、フランス語で「ふっくらしている」「袋詰めされた」という意味です。シャネルのクラシックバッグにおけるダイヤ柄のステッチがふっくらしている様子からマトラッセと呼ばれており、正式な名称ではないそうです。

もう少し詳しく説明すると、センター金具がシャネルロゴになっていない初期モデル「2.55」の後継モデルが「11.12」となり、通称マトラッセと呼ばれています。日本で多くの方に愛されているシャネルの代表的なハンドバッグで、黒色のラムスキン素材が特に人気です。



シャネル「マトラッセ」の主な素材

シャネル「マトラッセ」


ラムスキン

柔らかく、独特の光沢感が人気。水分に弱く、キズが付きやすい非常にデリケートな素材です。

カーフスキン

光沢感が落ち着いており、丈夫でキズが付きにくく、日常使いに適しています。

キャビアスキン

牛革に型押し加工を行い、粒々の表面が特徴的。丈夫で他の革よりも硬い。

他にもエナメル、キャンバスなど様々な素材のバッグが展開され、限定生産品も含めるとラインナップは非常に豊富。このモデルの人気を象徴しています。



シャネル「マトラッセ」のバッグ・鞄クリーニング+補色

シャネル「マトラッセ」


数ある素材の中でも人気の高いラムスキンは柔らかい反面、非常にデリケートで繊細。衣類との摩擦や外的な衝撃が加わることで、表面にキズ・擦れが生じて色が緑がかったように抜けてしまい、水分にも弱いことから汚れが目立ちやすい素材です。今回はバッグ・鞄クリーニング+補色で汚れや余計な油分を取り除き、全体の色を整えて角擦れの補修も行い、見違えるように仕上げます。



①作業前の状態チェック

シャネル「マトラッセ」

バッグ・鞄クリーニングの作業前にマトラッセの状態を確認します。前胴(マエドウ/シャネルマーク側)、背胴(セドウ/体に触れる側)に関しては目立ったキズ・汚れが少なく、非常にキレイな状態です。大切に使われていることが、この状態から分かりますね。使用している素材の質感を変えないように、補色は最小限に抑えます。

一方、底面の角に関しては大きなダメージがあります。使用されているラムスキンは非常に柔らかいので、角擦れが発生しています。底鋲の無いデザインのため、机や床に直接触れてしまうことが原因です。摩擦による毛羽立ちも補色で抑え込み、表面を整えます。



②素材に負担をかけないクリーニング

シャネル「マトラッセ」のバッグ・鞄クリーニング

靴専科のバッグ・鞄クリーニングでは、素材に合わせた専用の洗剤を使用して汚れ、余計な油分を落とします。ラムスキンはデリケートな素材のため、表面がキズ付かないように細心の注意を払いながらクリーニングを行います。また、水分量を抑えた素材に負担をかけないクリーニング方法も、靴専科のこだわりの1つです。



③専用乾燥機でじっくり乾燥

シャネル「マトラッセ」の乾燥


表面・内側のクリーニング後、専用乾燥機で乾燥させて、オゾンの力で除菌・消臭します。高温で乾燥させると水分が急激になくなって素材を傷める原因になるため、低温で時間をかけてじっくり乾燥させることが大切です。
 

シャネル「マトラッセ」のパテ埋め


乾燥後、キズにより凹凸が激しいパイピングは、あらかじめパテ埋めをします。パテで凹凸をなくして補色を行い、キズをカバーして元の状態を再現。ただ補色するだけでなく、ひと手間加えることで、新品のような状態に近付けていきます。



④全体の補色作業

 
シャネル「マトラッセ」の補色


革専用の補色材を使用して色を薄く何層にも重ね、キズ・擦れを整えながら色を整えていきます。1度に厚塗りすると、質感が変わって割れてしまうことがあるため、時間をかけて何度も丁寧に塗り重ねます。

今回はステッチも退色していたので補色しますが、通常はステッチをできるだけ避けるようにしています。さらに、チェーンに付属する革部分も同様に補色を行います。素材の色・状態によって調色や回数を見極めながら行う、熟練の技術と知識が必要な工程です。



⑤金具磨き

 
シャネル「マトラッセ」の金具


金具に補色材が付いていないか細部まで確認し、磨きます。メッキがかかっている場合は研磨剤を使用せず、汚れなどを拭き取る程度に留めます。



⑥クリーム仕上げ

 
シャネル「マトラッセ」


革に栄養と艶を与えるクリームで仕上げて完成となります。マトラッセのラムスキンはキズ付きやすいですが、バッグ・鞄クリーニング+補色で新品に近付けることが可能です。特に人気の高い黒は、見違えるような仕上がりになります。チェーンの跡が本体に付かないよう丁寧に梱包し、作業完了です。



シャネル「マトラッセ」のメンテナンス

普段のメンテナンスとしては、定期的にクリームで栄養と艶を与え、通気性の良い場所で保管することをオススメしています。バッグは使用する度に細かいキズができて、栄養と艶が失われていきます。特にラムスキンのような柔らかい素材は、栄養が枯渇すると毛羽立ってしまうので、注意が必要です。クリーニングだけでなく、メンテナンス方法のアドバイスも承っていますので、お気軽にご相談ください。

また、使っているうちに飲み物や食べ物をこぼしてしまう場合もあるかと思います。水やお茶などであればすぐに拭き取り、乾燥後にクリームなどを与えることでリカバリーできる可能性は高いです。ただ、油分や塩分を含んだ液体、または香水など香りの強い液体の場合は、拭き取り後すぐにご相談いただくことをオススメします。素材の内部で固まってしまうと取り返しがつかない場合があるので、早めの対応が大切です。



シャネル「マトラッセ」の内装交換

バッグの内装
ボロボロになったバッグのイメージ

 

バッグ・鞄クリーニングに次いでご依頼が多いのが、内装交換。聞きなじみのない言葉かもしれませんが、バッグの内側を張り替え、交換するサービスです。シャネル「マトラッセ」のような高級バッグは、家族代々受け継がれていたりヴィンテージ品をご購入されるケースも多く、内装が劣化していることがあります。

バッグの内装に合皮(合成皮革)を使用している場合、一般的に2~3年で合皮がベタつき、最終的にはボロボロになって表面が崩壊します。2~3年というのは合皮として製造されてからの年数です。そのため、バッグとして製作された段階で劣化が進んでおり、購入したときには既に内装が崩壊している場合も少なくありません。また、中古品の場合はほぼ全て寿命を迎えていると考えて良いでしょう。

 

バッグの内装交換のBefore/After
バッグの内装交換のイメージ


靴専科の内装交換は、お好みの素材・色の革・布に交換可能です。ただ、デメリットもあるサービスですので、ご依頼をお考えの際には一度バッグをお持ち込みいただき、ご相談ください。
 


合成皮革と人工皮革の基本構造

 
合成皮革と人工皮革の基本構造

合成皮革と人工皮革は、どちらも主に二層構造になっています。厳密に分けると、合成皮革は編物+樹脂(ポリウレタン)、人工皮革は不織布+樹脂(ポリウレタン)という構造の違いがありますが、見た目に差はなく、樹脂(ポリウレタン)の寿命は同じです。

表側は革を使用していても、内装はコストを削減するために革以外の素材を使用しているバッグは多く、シャネル「マトラッセ」も合成皮革や人工皮革を使用しているモデルがあります。それらは年月が経つにつれて内装が劣化してしまい、やがては交換しないと使えなくなってしまいます。バッグの内装交換に関する詳しい作業手順は、下記をご確認ください。

【ルイ・ヴィトン】バッグ修理でベタベタの内袋を美しく交換!

今回は作業手順ではなく、ご用意している素材やシャネル「マトラッセ」にオススメの素材をご紹介いたします。



バッグの内装交換用の素材


①シャンタン

シャンタン

厚さがあり、シワになりにくい平織の生地。光沢感があって、上品な印象を与えます。シャネル「マトラッセ」の内装を交換するなら一番オススメ。特に内装が赤いモデルとの相性は抜群です。



②綿ツイル

綿ツイル

斜めに織目が入った生地で手触りが良く、シワになりにくい。様々な衣類にも採用され、強度と伸縮性に優れています。



③綿オックス

綿オックス

丈夫で通気性が良く、軽く柔らかな手触りでシワになりにくい。程良い光沢感もあり、シャネル「マトラッセ」にはシャンタンに次いでオススメです。



④ピッグスエード

ピッグスエード


牛スエードよりも繊維が細かく手触りが良いため、高級感があります。通気性が良く、4種類の中で唯一の革素材です。

上記4種類を用意し、お客様のバッグに合わせた最適な素材をご提案させていただきます。色合い的にも、シャンタンや綿オックスがシャネル「マトラッセ」にはオススメです。
 

内装交換は、同じ色の素材を選んでも良いですが、思い切って異なる色を選んでみるのも面白いです。黒いラムスキンのモデルに対して、深みのある青色の綿ツイルや明るいワイン色のピッグスエードの内装に交換するなど、カスタムする楽しみもあります。

靴専科ではバッグ・鞄クリーニングや補色、修理を経験豊富な職人が一つずつ丁寧に行っています。質感を大きく変えず、長くご愛用いただけるように甦らせますので、お困りの際はぜひご相談ください。

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